とにかくしゃべる!フィンランドの社員旅行”リトリート”

フィンランドの働き方

こんにちは!ダンナです!
僕はフィンランドで就活・現地採用され、研究機関で研究員として働いています。

フィンランドをはじめ欧米諸国では、“リトリート”と呼ばれる社員旅行の習慣があります。
フラットな人間関係とワークライフバランスが特徴であるフィンランドの職場を下支えする、このリトリートという習慣を紹介します!
この記事ではリトリートとはいったい何なのか、メリットは何かを紹介します。

リトリートとは

リトリートという言葉は英単語の”retreat”に由来します。
Retreatという単語の本来の意味は「後退」という意味ですが、それが転じて「日常から一旦距離を置いて自分と向き合う時間を作ること」を指します。

特に、仕事という文脈の中では「職場から距離を置き、リラックスできる環境で職員同士の交流を深める」という意味合いを持ちます。
“Company retreat” = 「社員旅行」
“Lab retreat” = 「研究室旅行」といった風に使われます。

フィンランド国内の場合、湖畔にあるコテージで
国外の場合、地中海沿いあるいはアルプス等のリゾート地で行う場合が多いです。

自分が職場にいる意味は何か。職場をどのように成長させていくか。今後のキャリアはどうなっていくのか。そのようなことを役職や年齢に関係なくフランクに話す場で、仕事と遊びの中間のようなイベントです。そのため、特別な事情が無い限り、職員みんなが参加するのが望ましいです。

↑と、上のように書くと真面目な感じがしますが、実際のみんなのモチベーションは遊びの方が大きいかもしれないです。違う職場にいる友人も、リトリートはBBQのために行くんだと話していました。

職場でのリトリート体験

通常、リトリートは6月~9月頃に行われます。
僕は昨年の10月初めにギリシャの離島に研究室単位でのリトリートに参加しました。

毎日晴天でとっても気持ちよかったです!

前述のとおり仕事と遊びの中間のようなイベントですし、行先はギリシャのリゾート地。それに、この時のリトリートは研究室が設立して10周年の記念行事も兼ねていたので、雰囲気は完全にバケーションでした。

昼間は一人ずつ自分の研究を発表するか、OBがキャリアプランについて話すセッションでした。
そして、夜は当番で自炊して飲み会をするか、街に繰り出して宴会でした。
昼と夜の様子をそれぞれ紹介したいと思います。

昼間 -グループディスカッション-

フィンランド人に限らず、ヨーロッパの方はグループでフランクに議論するのが好きだと感じます。

フィンランドで働いていて思うのは、だれもが気楽に意見できるようにみんなが努力して雰囲気づくりをしているということです。経験が少ないと、どうしても見当違いなことや間違ったことを言ってしまうことがあると思うのですが、こちらの人は誰かの意見を真っ向から否定することはありませんし、むしろ未熟な意見をみんなで熟成させて良いものを作っていこうという雰囲気があります。このように、「失敗するかも」「こんなこと言ったら変かな」という不安を最小限にする努力が職場内で行われるフィンランドの働き方が、もっと日本でも脚光を浴びてもいいなと思います

脱線しましたが、このように誰もが自由に率直に意見を言える土壌が整っているので、必然的に人数が集まると議論が過熱します。

みんなで話し合ったことの中で特に印象的だったことを紹介します。
一番最初の教授のあいさつの中で、この旅行の中で「自分たちがなぜこの研究室にいるのか?」について考えてほしいという話がありました。大学等で働く研究者にとって最も重要なのは、研究成果を英語論文にまとめて世に発信することです。したがって、このような問いに対しての論点はおのずと「自分は研究成果にどのように関われるか?」という方向に向きます。

僕の教授の方針は、何年かかってもいいから世界で最も権威のある雑誌に論文を発表する、というようなものです。日本にいた頃は、教授の基本方針に意見することはありませんでしたし、意見するような風潮もありませんでした。

しかし、ある同僚が「今の方針では、成果を発表できるまで年月がかかる(=多くの研究者は任期付きなのでキャリアアップへのリスクがある)し、論文にならないプロジェクトが多くなりがちではないか」と言ったのをきっかけに、研究室の方針についてみんなで話し合えました。上司のやり方に真っ向から意見するなんて日本では経験したことがなかったのでとても衝撃的でした。

教授の、意見を否定することなく受け止めて、ではどうすればいいだろうかとみんなで話し合いながら解決するリーダーシップのあり方は素晴らしいです。

ワークライフバランスが充実した職場を実現するには、個人の心がけだけでは難しいと思います。年齢や身分に関係なく考えを主張しお互いを尊重しながら、グループ全体で方向性や最優先課題を確認し合う体制づくりが必要だと実感しています。

ちなみに、真面目な話をしているようですが、こういう時の雰囲気はとてもリラックスしています。
普段はコーヒー、リトリートではビール (!) やジュースを片手に、ソファやいすを適当に並べた部屋でみんなでおしゃべりしている感じです。

力を抜いて仕事に関する話をしました

フィンランドでは何事もリフレッシュが重要視されます。
昼間の予定は2時間のセッション+1時間の休憩が2セットという感じでした。
休憩の時は備え付けのプールで遊んだり、お酒を飲んでおしゃべりしたり、みんなでお昼の準備をしたりと、これまたゆるーーい雰囲気でした。
*何度も言いますが、半分仕事で来てます…

僕は英語能力に100%の自信を持てているわけではないですし、職場についても学ぶことが沢山あります。沢山のトピックが怒涛の速度で、しかも英語で進められる状況で、このようにゆるーく笑いありの職場というのがありがたいです。

一応まじめな話をしていたはず

夜 -飲み会-

リトリートは基本的に宴会仕様ですので、夜は日本と変わらず飲み会です。

上司も学生も関係なく大盛り上がりして
流行りの音楽をスピーカーで流して
ショット自慢をして
街灯によってきた昆虫について議論して
酔っぱらった勢いでプールに飛び込んで…..という感じです。

新人の宴会芸みたいのは無いですが、代わりに上司への無茶ぶりはよくあります。
教授はプールに飛び込ませられて、帰国後は風邪で2週間ダウンしてました笑

これはフィンランドの飲み会あるあるなんですが、天気が許せば外飲みになりがちです。
この時も外にテーブルやいすを並べて宴会場のセッティングをしました。
フィンランドの飲み会あるあるは別記事でまとめますね。

また、酔い覚ましに海に行ったりなんかしてリゾート気分を味わいました。

コミュニケーションはワークライフバランスの土台

昼間は仕事のことを熱く語りあい、夜はパーティーを楽しみます。
そうすると朝9時頃から真夜中まで、ずーーーっとしゃべりっぱなしです。よくもまあそんなに話すことがあるなと思うくらいの会話量です。

そしてあれだけ真夜中まで大騒ぎしたにもかかわらず、翌日の朝8時頃には誰かの話し声で起きるという。本当にフィンランド人はシャイで物静かなんでしょうか?? フィンランド人のうち、おしゃべり好きは一部の職種に濃縮されてしまっているんでしょうか?笑 とにかくタフです。

何はともあれ、働いているわけでも遊んでいるわけでもないような環境で、チームメンバーの人柄や意見を知り、お互いの信頼度を高めあえることができました。

ワークライフバランス先進国フィンランドですが、だれもが意見を言える環境作りに代表されるように、職員同士フラットな関係性を作るための努力には目を見張るものがあります。そして、このような努力は風通しの良い職場環境と、よく練られた制度 (休暇制度など) に表れています。

平等かつ公平なコミュニケーションを土台にした信頼関係があるからこそ、公私ともに尊重し合え、生産性が高い働き方ができるのだと思います。どうすればもっと働きやすい環境づくりができるのか、日本でももっと根本的な議論が活発になり、日本に合う形で職場環境がアップデートしていけばいいなと思います。

それでは!Moi moi!

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