フィンランドの大学で必須のスキル?乾杯ソング Sitsit

フィンランドの働き方

こんにちは!ダンナです!
僕はフィンランドで現地採用され研究者として働いています。フィンランドの大学や研究機関の伝統的な飲み会文化がとってもおもしろいのでシェアします。

この記事では、お酒にまつわるフィンランド人の性格や、フィンランドならではの飲み会スタイル、その名も”Sitsit”を紹介します。

そもそもフィンランド人は本当にシャイか

移住前、フィンランド人はシャイであるとよく耳にしました。また、お酒が入ると人が変わったかのように陽気でおしゃべりになるということも同じくらいよく聞きました。

フィンランド人のお酒に対する感覚 (ネタです笑)。他の国で病院送りになるほど飲む頃、フィンランド人は次のボトルを開けようとしている…

画像引用: Very Finnish Problems

実際にフィンランドに来てみると、初対面でもじもじしてしまったり大人数で集まっても沈黙が続いてしまったり (そして気まずくても何を話せばいいか分からない) するのをよく目にします。

しかしながら、フィンランドの中でも研究職の人々は例外だと思います。特に生命科学系ではその傾向が強いです。普段からエネルギッシュでとてもおしゃべり、そして議論が大好きです。おしゃべりの日本人が霞んでしまうくらいです。そしてよく飲み、お酒が入るとおしゃべりのブレーキが壊れがちです

職場のイベントで飲む

日本では仕事終わりに一杯というのがまだまだ広くみられると思います。

フィンランドでは仕事終わりに頻繁に飲みに行くというのはレアです。
なぜなら、仕事が終われば家族の時間だからです。終業次第、足早に帰宅するのが最も広く受け入れられています。

では、同僚や上司との飲みの席は無いのでしょうか?いいえ、あります。
多くの場合、季節の行事や職場のイベントです。

季節の行事としては、クリスマスが代表例です。
クリスマス自体は家族と過ごしますが、12月初め~中旬に”pikkujoulu” (ピックヨウル)というイベントがあちこちで開催されます。“pikku” = 小さい、”joulu” = クリスマスという意味です。Pikkujouluは小規模のものは建物のエントランスから、大規模のものはパーティー会場などの貸し切りまで様々なスタイルで行われます。基本的に参加費用は極めて少ないか無料なので、みんなでこぞって参加し、そして羽目を外してしまうのがあるあるです笑 日本でいう忘年会のようですね。

職場でのイベントとして、職員旅行が挙げられます。
欧米各国に根付く文化として、“retreat” (リトリート、後退の意)と呼ばれる社員旅行の慣習があります。職場からは距離を置いて、職員同士の理解を深め団結力を高める目的があります。とはいえ根っこは飲み会目的です。南国 (地中海沿岸のリゾート)へ行き、ボスから下っ端に至るまで大騒ぎします。

過去記事もご覧ください。

ギリシャの離島で行われた研究室旅行。丘の上にあるプール付きのヴィラを貸し切り。みんな昼夜問わず大はしゃぎでした。

ちなみに、僕の職場では金曜日に不定期で”Friday Beer”なる、金曜日限定のちょい飲み会が開催されます。1時間程度、雑談から研究の話までリラックスしてみんなと話せるいい機会です。

大学生から研究者まで鉄板の宴会スタイル

職場の付き合いで飲み会をする場合は特別なイベントの時に行うというのがフィンランド流です。大学や研究機関等、学術的な文脈の中で行われる宴会では特徴的なスタイルがあります

それは”Sitsit” (シットシット)と呼ばれるものです。
Sitsitは学術的な集まりで、長机で着席して行われる飲み会スタイルを指します。
大きな特徴は、乾杯の司会者がいること、そして飲み会用の歌があることです!

まずみんなで着席したら司会者が乾杯の言葉を述べます。ここでは私語は慎みましょう。
司会者は乾杯の挨拶だけでなく、その飲み会の進行役も兼ねています。

乾杯の言葉が終わったら、1人1つずつショットグラスにお酒を注ぎます。
このお酒はブランデーやその他の蒸留酒と決まっています。
みんなが注ぎ終わったのを確認して、乾杯の歌を歌います!!

伝統的な乾杯の歌 Sitsilaulut

学術的なパーティー”Sitsit”に乾杯の歌はマストです。
この歌は“Sitsilaulut (シトゥシラウラット)”と呼ばれ、飲み会にいる人の出身大学や専門分野によって異なる歌を歌う伝統があります。

ヘルシンキ大学のとあるサークル調べによると、代表的なものだけで50種類以上!笑
元々はスウェーデンから伝わった習慣なのでスウェーデン語のものが多いです。それらの多くは19世紀頃から続くものとされています。飲み会に命かけすぎ…
参考ページ

その中でも特によく歌われるのは”Helan går (ヘーラン ゴー)”という歌です。
Helan gårとは、スウェーデン語で「全部飲み干せ」という意味です。全くもって知的な歌ではありません!
その道の第一線を行く人たちが19世紀から飲み歌を大事にしていると思うと笑えてきます。

誰得なのかと言われるかもですが、一応歌詞を載せておきますね

Helan går,
Sjung hoppfalderallanlallanlej!
Helan går,
Sjung hoppfalderallanlallanlej!
Och den som inte helan tar,
Han ej heller halvan får.
Helan går! (グイっと飲み干す)
Sjung hoppfalderallanlallanlej! (間髪入れず大合唱する)

Youtubeの動画を参考までに。実際はもーーっと大盛り上がりです。
Helan går: https://youtu.be/aoG7A4vbrdI?feature=shared

フィンランド語で乾杯は”Kippis (キッピス)”です。
みんなでおしゃべりして肩ひじ張らずにKippisは最高です。

*当たり前ですが、お酒が苦手な人が無理に飲まされることは絶対にありません。道徳観的にも制度的にも、そのような従業員は立場に依らず即アウトです。グラスの中がお水でも空でも全然問題ありません。

フィンランド人のタフさ

当然、大騒ぎして解散は夜中というのは当たり前にあります。

すごく驚いたのはフィンランド人のタフさです。前日にたくさん飲んで酔っ払った人も次の日にはしっかり動いている人が多いです。二日酔いでも朝から活動できるタフさと真面目さを兼ね備えている同僚には感心してしまいます。

仕事の時と羽目を外すときのギャップが大きくてすがすがしいです。

それと、北欧の働き方というとワークライフバランスが注目されますが、その実現には役職や年齢を超えたフランクかつ密なコミュニケーションの基に成り立つ信頼関係が重要なんだと思います。

飲みすぎに気をつけつつ楽しく過ごしたいと思います。

それでは!Moi moi!

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